天城山 八丁池
山行記録  [ back ]

フリガナ ハッチョウイケ 
山域・山名 天城山 八丁池 
日   時 1996年(平成8年) 2月25日 日曜日 
天   候   
行   程 旧街道天城トンネル(8:00-8:20)−天城峠(8:40)−向峠(9:16)−八丁池(11:30-12:40)−向峠(14:08)−天城峠(14:37)−天城トンネル(14:56)  
所 在 地  
2.5万図  
緯   度  
経   度  
備   考 伊豆とは言え天城山周辺はその年によってかなり積雪があります。冬に訪れる方は冬山装備をお忘れなく、特に万三郎岳方面にいかれる方は地元への問い合わせ等をしっかり行ってからお出かけ下さい。 


 2月22日に突然杉本さんより電話がはいる。今度の日曜日に曽我さんが富士山をとりに行きたいといっているとのこと。
 杉本さんは用事があり行けないというので、取り合えずどこか良い場所を探すことにした。

 家に帰ってあれこれと場所をさがし三ツ峠の富士山が良いと思ったが、やはり山の写真は早朝か夕方でなくてはよい写真が撮れないので山小屋にでも泊まって撮影しなければ成果はあげられないだろう。

 今からでは三ツ峠に泊まりがけでいくには日がなさすぎる。おまけに天気予報でも週末は気圧の谷の影響ですっきりした青空は望めそうにない。

 仕方なくその次の日に電話を入れると曽我さんが天城の八丁池が全面氷結しているというので見に行くことに決定した。
 杉本さんが言うにはこの時期積雪は50センチ位あるのではないかとのこと、半信半疑ではあったが、一応それなりの準備をして出掛ける。

 早朝の天城旧街道は路面が凍結しており、久しぶりにスペクトロン号が活躍する。
 天城トンネルの横に車を止めて、登山の支度に取りかかる。登山靴とスパッツを履いて、アイゼンを付けてトンネル横の登山道を登りはじめる。
 登り始めからかなりの雪があり予想をはるかに越えていることに驚くと同時に、雪の低山歩きのおもしろさを充分味わえるのではないかと期待に胸を膨らませつつ、「雪の天城山八丁池二人歩記」のはじまりである。

 雪道は既に誰かが通ったあとらしく踏み跡もはっきりしており、又雪自体がしまっているので比較的歩きやすい。
 それでも時々谷側に積もった雪にのるとズルッと滑って足をとられることがある。
 それ程急な斜面があるわけではなく、だらだらと緩い斜面を雪を踏む音だけを聞きながらもくもくと歩いていると、ときどき鳥の囀りが聞こえてくる。


 山は雪に覆われてはいても春はすぐそこまで来ているのだと感じながら誰一人すれ違うこともなく八丁池を目指して足をすすめる。
 途中で時々片方のアイゼンがはずれてしまい調子が悪い。何回か付けなおしてみたが同じなので片方とってしまう。どうも雪渓用アイゼンはこういう雪には向いていないらしい。

 向峠を過ぎて適当な場所があったら最後の休憩をしようと思っているが、まわりは雪だらけでなかなか良い場所が見つからない。ちょっと広くなった所に倒木があり、その上の雪をどかしてビニールを敷いてしばし休憩。
 さかずに汗をかいた体は立ち止まっているとみるみる冷えてくる。水分を補給して休憩もそこそこに出発する。

 寒天橋より続いている林道にぶつかり少し下ったところでようやく目的の八丁池が姿をあらわす。
 凍った池の上に雪が積もって真っ白になった姿はとてもきれいだ。見晴らし台は帰りにまわし八丁池へと降りることにする。

 ようやく標高1125m、天然記念物モリアオガエルが棲息することで有名な八丁池に到着。
 休憩所には既に十人以上の人々がおり昼食をとっていた。座れそうもないので近くにザックをおいて写真機を持って八丁池の周りで写真を撮ったり、凍った池の上に載ったりしていると先ほど昼食をとっていたグループの一組が帰ったので空いたところに座ってこちらも昼食の支度をする。

 昼食を食べているとあとから二人組の人がスキーの板を担いで登ってきた。我々の隣に座って昼食をとったので話を聞いてみると、先週の日曜日に大雪が降ったので旧街道を娘に滑らせたとのこと。
 この分なら一週間は大丈夫だろうと自分も次の日曜日に滑ろうと思っていたが、会社へいっても雪がとけるのではないかと心配で心配で会社どころではなかったと実に愉快なおじさんである。

このおじさんは河津の出身で子供の頃、この八丁池でスケートをしたこともあるらしくあやうく遭難しかかった経験もあるとか。
 この人の話だとこの辺にこれだけの雪が積もったのは記憶にないと話していた。
 いろいろとおもしろい話を聞いているうちに、だんだん寒くなってきた。体が冷えてきたのでそろそろ出発の準備にとりかかる。

 我々が出発しようとしているところへ入りかわり十人以上のグループが到着する。この雪の中でこんな所までくる物好きは我々以外にも多勢いることに驚きながら八丁池をあとにする。

 片方付けていたアイゼンも調子悪いので下りだけれど取ってしまってアイゼンなしで下ることにする。
 見晴らし台まで登ってまわりを見渡したが八丁池以外はあいにく雲が多くて遠くの山は見通せない。富士山の稜線がかすかに望めるくらいなものだ。

行きはあまり人が通った形跡がなく多少歩きにくかったが、帰りは既に多くの人に雪が踏まれていて平らにならされていたのでアイゼンがなくても歩きやすい。親子連れに会っただけであとは誰にも会わずに天城トンネルまで戻ってくる。 

今回は「雪の天城山八丁池二人歩記」と題して行った山行だが雪は豊富、行き交う人はいないと大変静かな山が味わえた。
 暖かい伊豆でもこのように雪が積もった山を歩くことができ、又数年振りに全面氷結した八丁池を見ることが出来て大変幸運だったと思う。誘っていただいた曽我さんに感謝申し上げたい。


[ back ]