雲取山
山行記録  [ back ]

フリガナ クモトリヤマ 
山域・山名 雲取山 2017.1m 
日   時 1997年(平成9年)4月26日土曜日 
天   候  
行   程 鴨沢(7:46) (林道) 登山口(8:27)−堂所下(9:56)−七ツ石分岐(10:45)−七ツ石と合流(11:05)−ブナ坂(11:16-45)−奥多摩小屋((12:08)−雲取山山頂(13:00-10)−奥多摩小屋(13:40)−ブナ坂(13:58)−七ツ石分岐(14:21)−堂所(14:38)−登山口(15:24) 
所 在 地 埼玉県秩父郡大滝村、東京都西多摩郡奥多摩町、山梨県北都留郡丹波山村 
2.5万図 雲取山 
緯   度 35.5108 
経   度 138.5649 
備   考  


 雲取山は東京都の最高峰。とは言っても実際には山梨・埼玉の県境に位置する山である。
  山塊的には奥秩父に属し、花の多さ、展望の素晴らしさは言うは及ばず、深田久弥の「日本百名山」にも選ばれている山である。
 登山口としては、三峰神社、三条の湯などがあるが、鴨沢からのコースが一番距離が短く、本来この山は2日で歩くのが一般的だが、我々は日帰りのため、鴨沢からのコースを登ることにする。

  3時50分に出発。この時期としては当然のことながらまだ真っ暗の夜明け前。子供の遠足と同じで、山登りであれば、朝早かろうが、車の中での仮眠だろうがへっちゃらなのである。
5時に富士宮で遠藤兄弟と合流し、クラウン3リッターロイヤルサルーン号で一路鴨沢を目指す。
セブンイレブンにて朝食と昼食を買い、甲府南ICより中央高速に乗って、釈迦堂でトイレ休憩、勝沼ICで中央高速を降りて、塩山を抜けて青梅街道経由で鴨沢へ。
 青梅街道はかなり曲がりくねっているが上下2車線で道幅は充分あり、思っていたほど狭い道ではない。

 奥多摩湖が見えてくると鴨沢に到着。登山の恰好をした人達がいるのでここに間違いはない。
 既に道の両側に多くの車が駐車しており、我々も道の端に車を止めて登山の支度をして登り始める。

 地図でみるとかなり上まで林道が走っており、登山道の近くに車が止められるかどうかわからないので取り合えず林道をてくてく歩き始める。
 林道から登山道へと入っていく周辺にはかなり車が駐車しており、ここまで車で来れば往復1時間は短縮出来たと後悔する。

 登山道を歩き始めるとすぐにヤマブキの黄色い花が咲いている。ミツバツヅシも薄紫色の花を咲かせ、かわいいスミレも道ばたにちょこちょこと咲いている。

 空はどこまでも青く、ぽっかり浮かんだ白い雲は動こうともせずに、じっとその場所に浮かんでいる。
 そよ風は肌にここちよく暑さを感じさせない。耳を澄ませばあちらこちらでホトトギスをはじめとする鳥たちの澄んだ声が聞こえてくる。
 大きく深呼吸すると澄んだ空気と一緒に山の臭いが体中に満たされてくる。なんてすばらしいんだろう。やはり山はいいなーと思うひとときである。

 緩やかな登山道は、整備されて歩きやすく、ほどなく民家らしき家が見えてくる。周りは畑になっており、人の住んでいる気配はない。その上には朽ち果てた家もある。
 昔はここで生活を営んでいた人がいたのだろうか。すぐ下には林道がかなり奥まで延びている。


 いったいこんな奥まで道路を造ってどうするのだろうか。道はなおも緩やかな登りとなって続いている。ほどなくパイプで水を引いている水飲み場へと到着。
 冷たい水でうがいをして、コップいっぱいの水をゴクリとたてつづけに2杯のむ。汗をかいた体に山の湧き水はなにものにも代え難い活力源である。

 しかしこの緩やかな道は一体いつまで続くのだろうか。登っても、登っても雲取山の頂はその姿を見せず、時間だけが過ぎていくようだ。
 七ツ石の分岐を小屋の方にはいかず左側の巻き道をいくと、ほどなく七ツ石小屋から来た道と合流する。
 地図上ではブナ坂となっており、日原からの道がここで合流している。

 連れが腹が減ったというので、ここで昼食をとる。おにぎりを食べながらふと下を見ると鹿の糞がかなり転がっており、この辺りも鹿が多いのだろう。この辺りは禁猟区なのだろうか。
 鹿の姿は見えず、なんとなく野生のようでホッとする。丹沢のように人の食べている弁当を目当てに寄ってくるようになってしまったらおしまいだ。与える方にも問題があるが・・・

 昼食を終えて歩き始めると防火帯になっている幅の広い尾根道に出る。ヘリポートも出来ており、緊急時にはここにヘリコプターが着陸するのでキャンプ等禁止と看板が建っている。
 ここまでくるとようやく山頂が見えてくる。周りの景色もかなりよく見えてくるようになり、富士山がよく見えている。
 この先に奥多摩小屋があり、キャンプ指定地になっている。天気がいいので小屋の前にはふとんが干してあった。

 こういう気配りは当たり前と言えば当たり前だが、宿泊者には大変ありがたい。富士山のように、つめたい、しめった、かび臭い布団に寝かされた日には一日の疲れが倍になってしまってどうにもやりきれなくなってしまう。
 この奥多摩小屋は素泊まりのみで食事は各自で用意しなければならない。

 すでにここまで休憩を含めて4時間以上も歩いてきて、山頂まで地図で見る限り1時間以上はかかりそうだ。
 おまけにここからの登山道の急なこと。ひたすら無口になって登り、小雲取山を越え、少しくだって鞍部に出る。ここから雲取山荘への道が右に巻くように延びている。ここから頂上まではもう一息、最後の力を振り絞って一気に頂上へと向かう。

 山頂はさすがに展望に優れていて、この時期としては最高の部類に入るのではなかろうかと思われるくらいよく見える。
 頂上には雲取山の看板が2つ建ててある。一つは新しくて埼玉県と入っており、もう一つはかなり古く字も読みとりにくい。こちらは東京都と書かれている。標高も若干違っていて、ここが県境であるらしい。


 この山頂からほんの少し下ったところに立派な避難小屋が建っている。中も広くて綺麗になっていた。いつまでもきれいに大切に使ってもらいたいものだ。
 山頂には実に色々な人がいる。夫婦で来ている人、グループで来ている人、犬を連れて来ている人、この犬を連れて来ている人、この犬と一緒に北岳も登ったそうだ。
 それからなにやら場違いのような、そうでないようなマウンテンバイクの集団。ここまで登ってくるのにさぞや苦労したことだろう。しかし下りは楽そうだな、雪のある山にスキーを担いで登るようなものだもんな、などと一人でみょーに感心してしまった。

 山頂で10分位休憩した後、下山にとりかかる。時刻は既に13時を回っており、連れは18時には富士宮へついて一杯やるなどとのたまわっている。
 丹沢の天狗よろしく麓目指して半ば駆け足で下ってくる。
 先程山頂にいたマウンテンバイクの集団も下っていく。おもわず「乗せていってくれー」と心の中で叫んでみてもかなえられるはずもなく、休憩もせずに一気に水飲み場まで下ってくる。

 ここで5〜6人の中高年パーティーが水を飲んで休憩している。下山の途中だとは思ったが、一応「登りですか」「下りですか」と聞いたところ、驚いたことに「登りです」と言う。時間は既に15時30分、「ここからだと早くても3時間半はかかりますよ」と忠告すると「えー」という返事。


 遅くなるようなら奥多摩小屋が開いているのでそちらへ泊まるとのことでその場を別れる。

 ここ迄来て、しまった事に靴擦れがおこり痛くてしょうがない。何とかがまんして一気に林道まで下ると一台の車が出発しようとしている。「ちょうどよかった、一人乗せてってもらって車を取ってこよう」ということになりお願いして乗せてもらい、車を取りに向かう。さすがに車と言うのは早いもので10分位で登ってくる。

 天気に恵まれて久しぶりの登山だったが実に充実した一日だった。家に帰って熱い風呂にはいり、ビールをグイッと一杯。実にうまかった。


[ back ]