金峰山
山行記録  [ back ]

フリガナ キンプサン 
山域・山名 奥秩父 金峰山 2599m
日   時 1998年10月31日(土)から11月 1日(日) 
天   候  
行   程 10月31日
須玉IC(15:20)−野辺山駅−廻目平「金峰山荘」(16:40)
11月1日
「金峰山荘」(8:45)−林道終わり(9:45)−金峰山小屋(11:18-30)−金峰山頂(11:50-12:06)−金峰山小屋(12:20-13:20)−金峰山荘(16:00) 
所 在 地 山梨県甲府市、長野県南佐久郡川上村 
2.5万図 金峰山 
緯   度 35.5206 
経   度 138.3742 
備   考  


 8月の終わりから各地で大雨に見舞われ大変な被害がでた。
  9月23日に予定していた山行が台風の影響で中止となり、10月に予定していた瑞牆山もまたしても台風で中止となってしまった。実に2ヶ月ぶりの山行で金峰山に出掛けて行く。

瑞牆山方面をみたところ

 沼津ICから東名に乗って富士ICへ、朝霧高原を経由して甲府南ICから中央高速に乗り須玉ICで降り、佐久甲州街道を走り廻目平へとやって来る。
 広い駐車場には既に多くの車が止まっており、色とりどりのテントがあちらこちらに張られてオートキャンプを楽しんでいる人たちがいる。
 4年前、夜中にこの駐車場に着いて、満天に輝く星たちを眺めながら車の中に寝たのが懐かしく思い出される。

カラマツの黄葉

 今日の宿泊地「金峰山荘」はこの廻目平キャンプ場の中に建つ村営の山荘である。宿泊客はそう多くはないらしい。早速受付を済ませて部屋に入って一服していると、なんだかとても寒くなってきた。部屋の中には暖房設備もテレビもない。
 食事の前に風呂に入ろうと私と大谷さんは風呂場に出かけていく。藤生さんと中野さんは寝る前に入ると言うので部屋で留守番をしていてもらう。浴室はかなり広く温泉ではないが、なかなかいい風呂である。

 風呂から上がって部屋に帰ると館内に「となりとトトロ」の曲が鳴り響く。夕食ができたよと言う合図らしい。
 食堂に行くとセルフサービスとなっており、ご飯と味噌汁は各自でよそるようになっている。

紅葉ももうお終い
 厨房に向かってビールと熱燗を頼んで席に着くと今日は鍋料理である。1泊2食で6500円と言う料金だったのであまり期待はしていなかったのだが、テーブルを見てビックリ。大皿に盛られた肉はとても四人では食べきれないくらい用意されている。結局半分以上ごみ箱行きとなってしまいもったいないことをしてしまった。

 部屋に戻っていつも杉本さんがワインを飲むからと藤生さんが折角もってきたワインだが、今日は杉本さんが居ないので四人で仲良く分け合って飲み、中野さんと藤生さんは風呂に入りにいく。
 テレビも無いし明日の山行に備えて22時就寝。

シャクナゲの葉と瑞牆山

 翌日は6時30分起床。窓の外を見ると曇り空である。雨の心配はないようだが今一つの空模様である。例によって「となりのトトロ」の曲が流れて朝食の準備が整ったようなので食堂に向かう。朝食もおかずの品数が多い。

 朝食を済ませて宿を出発。白樺やカラマツに囲まれた雰囲気のいいキャンプ場の中を歩き始める。
 見上げれば岩峰や絶壁がそそり立ちカラマツの黄色く紅葉した姿が美しい。程なく鎖が張られたゲートがありこの先は一般車の通行は出来ない。なおも西俣沢左岸沿いの林道を約一時間歩いてようやく中ノ沢出合に到着。堰堤の工事が行われており重機も置かれている。この先は徒歩以外では行けない道になっている。

山頂から見た瑞牆山

 昔はこの先まで林道が伸びていたらしく金峰山登山口の標識のある所に乗り捨てられた車が錆付いて放置されている。

 休憩していると上から降ってくる男性がいる。昨日金峰山小屋に泊まって今朝下山してきたというこの男性の話によれば、今朝はてともよい天気で大展望を見ることが出来たと言っていた。これはかなり期待出来るかもしれないと一同期待に胸を膨らませて先を急ぐ。
 しばらくすると今度はゼッケンを着けた若者が降ってくる。その後もぞくぞくと降ってくるので話を聞いてみると皆走って登ったのだという。早い人は1時間位で山頂に達すると言うから驚きである。我々は中野さん方式を採用して、今回はワンピッチ30分の行程で山頂を目指す。

 樹林の中にはシャクナゲの木が数多くあり、花の時期にはかなりよさそうな所である。登山道も傾斜を増して尾根筋に出ると瑞牆山が樹木の間から見えるようになる。傾斜が緩やかになってしばらくすると金峰山小屋に飛び出した。

金峰山頂の五畳岩

 小屋の周辺にザックを置いて空身になって石伝いに登ること20分、金峰山頂に到着。記念写真を撮って石の上に座ってしばらく休憩しながらまわりの景色を楽しんだ。
 永遠と連なる山並みの向こうに富士山がほっそりとした姿を現している。右に目を移せば巨大な五畳岩の向こうに雪をかぶった南アルプスの山々が並び、振り返れば奇岩の瑞牆山とその向こうに八ケ岳連峰、尚も目を右に移せば遠くに浅間山周辺の山とすばらしい景観が広がっている。
 前回は小雨の中を登って山頂に立ったのだが、回りは真っ白な霧で何も見えなかったので、景色に恵まれたのは実に幸運であった。
 それにしてもさっきから瑞牆山の辺りをヘリコプターが忙しく旋回している。
その時は何かあったのかなと思ったが、帰ってきて新聞をみるとどうやら中央大学の学生が遭難したらしい。その後のことは新聞に載っていなかったので判らないが無事発見された事を祈るしかない。

金峰山頂を見上げたところ

 山頂付近を吹き抜ける風は冷たい。休憩していると体が冷えて寒くなって来たので小屋まで引き返す。
 小屋の横にあるテーブルに携帯コンロを出して早速コーンスープを温める。パンを食べながらコーンスープを飲んで、中野さんが持ってきた雑煮も作って四人で分け合って食べる。
 お湯を沸かしてコーヒーを飲み、下山準備を整えてトイレを済ませて中野さんと藤生藤生さんは小屋で土産を買い、もと来た道を今度は大谷さんがリーダーとなって降り始める。

 全員大した疲れも見せずに林道まで戻ってくる。前回の時もそうだったのだがこの林道、どうも行きよりも帰りの方が長く感じられるから不思議である。疲れているのでそう感じるのだろうけれど1時間の林道歩きは精神的に大変疲れる。車で入れたらとつい邪道な考えが頭をよぎってしまう。

山並みの向こうに見えた富士山

 そう言えばこの廻目平は岩登りのメッカとしても有名で、林道の途中で岸壁を見上げると岩に取り付いている人が見える。時計を見ると既に16時になろうとしている。この時期もうすぐ日が落ちるのにまだあんな所にいて大丈夫なのだろうかとお節介にもつい考えてしまった。

 ようやく昨日宿泊した金峰山荘まで戻って、入浴をお願いすると1人300円だと言うので早速風呂に入って山の汗を洗い流す。

 さっぱりしたところで暮れ行く奥秩父の山に別れを告げて家路を急ぐ。
 野辺山を過ぎたところにある川上そば「ふるさと」で天ざるそばの夕食をとり、天気と景色、カラマツの紅葉と、実に恵まれた山行を無事に締めくくった。


[ back ]