苗場山・平標山
山行記録  [ back ]

フリガナ ナエバサン・タイラヒョウ  
山域・山名 苗場山(2145.3m)・平漂山(1983.7m) 
日   時 1999年6月11日(金)から6月13日(日) 
天   候  
行   程 6月11日 金曜日
塩沢石打IC(0:18)−小赤沢三合目(1:40)
6月12日 土曜日
小赤沢三合目(7:05)−四合目(7:45-50)−五合目(8:17)―六合目(8:56-9:05)−七合目(9:23)−八合目(9:42-49)−尾根上へ(9:58)−苗場山頂ヒュッテ(山頂)(10:44-11:40)−尾根上から下山路(12:16)−八合目(12:23)−七合目(12:39)−六合目(12:53-13:04)−五合目(13:35)−四合目(13:57-14:09)−三合目駐車場(14:27)
三合目駐車場(15:00)−酒屋(16:10)−塩沢石打IC(16:40)−越後湯沢IC(16:43)−苗場プリンスホテル(17:20)
6月13日 日曜日
苗場プリンスホテル(8:20)−平漂山登山口(8:25-8:40)−鉄塔(9:44-55)−松手山(10:27)−山頂(11:59-12:23)−花畑−山頂(12:37)−平漂山ノ家(13:08)−林道へ(13:41-55)−平漂山登山口(14:50) 
所 在 地 苗場山 新潟県中魚沼郡津南町、南魚沼郡湯沢町
    長野県下水内郡栄村
平標山 群馬県利根郡新治村、新潟県南魚沼郡湯沢町 
2.5万図 苗場山 苗場山
平標山 
緯   度 苗場山 36.5034
平標山 36.4853
経   度 苗場山 138.4137
平標山 138.493
備   考  


広々とした苗場山山頂

 6月に入って気象庁が梅雨入りを発表してから全く雨が降らない。降らないどころか毎日夏を思わせるようないい天気が続いている。そんな空梅雨気味の中、残雪と新緑、花を見ながら歩く上信越国境の山、苗場山と平標山に出掛けて行く。

 会社が終わって出発。中央道を八王子インターで降りて、夕食場所とコンビニを探しながら走っていると、いつの間にか青梅インターまで来てしまった。
 取り合えずインター手前のファミリーレストランの駐車場に入ったが、ここで食事をして高速に乗ってしまうと、万が一塩沢石打インターを出てコンビニが無かったら困るし、コンビニが有ってもビールを売っていなければ数年前の守門岳のように寝苦しい夜を過ごさなくてはならないので、一旦コンビニまで引き返すことにした。
 元来た道を引き返し、また青梅インターまで戻るよりも入間インターから入るほうがいいだろうと16号線を入間に向かって走り、以前尾瀬に行くときに寄ったことのあるラーメン屋で夕食を済ませ、その先のコンビニで食料とビールを調達する。

小赤沢登山口

 これで準備万端一安心、入間インターから圏央道を経由して、鶴ケ島JCTから関越自動車道に入り、トイレ休憩の為に赤城高原SAに寄ると雨が降っている。この先もかなり雨が降っていたが、長い関越トンネルを抜けるとそこは雪国ではなく雨も降っていない。塩沢石打ICで降りて一般道を小赤沢へ向かう。

 秋山郷に入ると道はだんだん狭くなり、林道に入って舗装が終わり未舗装の道をしばらく走って小赤沢三合目の駐車場に到着。
 既に6台位の車があり、テントも張られている。地図には20台位駐車出来ると書いてあるが広げたのだろうか、かなりの台数が駐車可能だ。トイレも設置されていてとても綺麗で清潔である。

  我々も車を止めてテントをひっぽ投げて設営し、明日の天気を心配しながら夜空を見上げると満天の星空である。早速ビールを飲んで私と杉本さんはテントに、曽我さんと藤生さんは車の中でそれぞれ仮眠をとった。

 周りが明るくなって、車や人が動き回る音が頻繁に聞こえてきたのでテントから顔を出して見ると青空が広がっている。
 今日はかなり暑くなりそうだ。朝食とトイレを済ませて夜露に濡れたテントを乾かす為に車の後ろに移動して苗場山に向けて出発する。 

 駐車場の脇に三合目の標識があり、標高1270mと書かれている。苗場山に登るルートは色々あるが、この小赤沢から登るのが一番時間がかからない。

シラネアオイ

 道はしっかりしていて早くもエンレイソウとイワカガミが咲いている。

 四合目まで来ると水場があり、ここで水を汲んで飲む。冷たくてとてもおいしい。空は青く初夏のようだ。沢筋に残った雪と新緑がとても綺麗で、この先もイワカガミやマイズルソウを見ながら進んで行くと、樹木に覆われた道となりショウジョウバカマが咲いている。

 五合目の標識の所で休憩しているとササの中にひっそりと咲くイワウチワを発見。
 この先登山道が急になった所に隠れるようにシラネアオイが咲いている。

まだ登山道には残雪が

 クサリの取り付けを通過し雪の斜面を登って、雪解け水が流れている登山道を登りきると広々とした尾根に出た。
 山頂に向かって木道が延びていて雪もかなり残っている。開放的な雰囲気の中、木道を歩きやがて雪道となって一旦木の生い茂る中を通過して再び木道と雪道を繰り返し、最後の雪渓を登りきると苗場山頂ヒュッテに着く。

 山頂はこのすぐ先だがベンチとテーブルがあったので先に昼食をとって山頂に向かう。 山頂で休憩している人達もおり、苗場山と書かれたプレートを探してみたが見つからない。風雨にさらされて字が辛うじて読める傾いた板に苗場山と書かれていたのでそこで写真を撮った。

 ここから周辺を見渡すと、広々しすぎてとても山頂とは思えない。
 山頂にいた人があの小屋の奥に三角点があるよと教えてくれたのでそちらに行ってみると、遊仙閣の奥に一等三角点がありここに苗場山のプレートがあったのでここでも写真を撮った。
 展望の方は昼近いこともあり靄がかかってあまり得られない。山は見えているが山座同定もせずに来た道を戻り下山することにした。

 雪渓を下って木道を歩き、広々した尾根から下山道に入ると雪解けが一気に進んだのか、水が増えて小川のように流れている。
 滑らないように注意しながら、登りの時と同じ場所で休憩を取りながら下って来たが、休憩していると蚊や小さい虫がやたらと体の周りを飛び回り、うっとおしくてしかたがない。

エンレイソウ

 四合目を過ぎてから登りの時はさほど感じなかったが、ぬかるんだ所に輪切りにした木が埋め込まれていて、ちょっと油断するとツルッと滑って大変危ない。承知しながら歩いていてもツルッと来るので始末におえない。僅かに残っている雪も足の置き場によってはズボッと踏み抜く危険性があり、こちらも注意が必要だ。

 駐車場まで戻って来るとまだだいぶ車が止まっている。
 テントを撤収して本日の宿泊地、苗場プリンスホテルに向かう。昨日は夜で周りの景色が全く判らなかったが、道の両側に水田が広がっていて緑の田園風景がすばらしい。さすが米所新潟県だ。
 国道の左側に地酒300種類の看板を発見。米と並んで日本酒もうまいことで有名なだけに、これは絶対に覗かねばいかんと入っていく。
 ここで当店オリジナルの安い酒を2本と大谷さんのお土産として1本買った。地方発送もしてくれると言うので名刺を一枚貰ってくる。

遊仙閣

 越後湯沢は小説「雪国」の舞台となった所だが、今はまったくその面影は残っていない。ひなびた温泉街の雰囲気はどこにもなく、高層ビルが乱立し、異様な風景である。
 まさにバブリーの悪しき遺産といったところがピッタリのようだ。

 苗場プリンスホテルの手前に平標山登山口の標識があり、入ってみると駐車場もかなり広い。明日はここから登ることを確認してホテルに入った。

広々した山頂の木道を行く

 4号館10階の20・21号室の2部屋を用意してもらって、藤生さんが1部屋、我々が3人で1部屋だ。
 部屋に入ってくつろぐ間もなく、早速風呂に入りに行く。この辺りは温泉も豊富なのに沸かし湯である。
 ホテルといえば、浴槽とトイレがセットになってカーテンで仕切られている風呂が定番だから、沸かし湯でも広々とした浴槽に浸かれるだけありがたい。

 風呂から出たらお待ちかね、よっ待ってましたとばかりに冷たい生ビールで乾杯して和定食を注文する。夕食後、カラオケ半額券が付いていたのでカラオケをやりに行く。藤生さんは先に寝ると部屋に戻ったので、3人で1時間カラオケを楽しむつもりがエキサイトしすぎて1時間延長してしまった。
 翌日は昨日よりもいい天気で真夏のようだ。支度を済ませて平標山登山口の駐車場に着くとすでに満車状態である。

苗場山方面

 我々の前に10名程のグループが歩いており、この後ではどうしょうもないと追い越しをかける。
 登山道はいきなりかなりの急坂で、グループを抜いた手前もあって最初から杉本さんがかなりのハイペースで皆を先導していく。
 おまけにかなり蒸し暑く体中から汗が吹き出している。木々の間から大きな鉄塔が見えているので、とりあえずあそこまで行ったら休憩しようと決めて歩くが、近いようでいてなかなか着かない。

 ようやく鉄塔に着いてザックをおろすが、背中が汗ビッショリで気持ちが悪い。ザックからペットボトルを取り出して一気に喉に流し込む。
 ここからは両側が開けて暑さもやわらいでくる。泊まったホテルが下の方に小さく見えて昨日登った苗場山も斜面に雪が残った姿で見えている。

ハクサンイチゲの群落

 松手山まで来ると風が吹き抜けて休んでいると寒いくらいだ。道は尾根伝いに平標山まで続いている。
 風に吹かれながら尾根伝いに快適に登っていると、ようやくお目当てのシャクナゲがあった。時期がちょっと遅く既に大半は終わってしまっていたが、砂礫の斜面にハクサンイチゲの群落があり、白い花をいっぱい咲かせている。
 両側にササが生えている中に、ほんの僅かだがきれいに咲いているシャクナゲも見られる。

イワハゼ

 山頂は多くの登山者で大変な賑わいである。すぐ目の前に仙ノ倉岳があり、こちらに向かってやってくる登山者もかなりいる。ここからの眺めもすばらしいのだろうが残念ながらもやがかかって遠くの山は見えない。谷川岳も仙ノ倉岳に隠れてしまって見ることが出来ない。
 空いている所に腰を下ろして昼食にパンを食べた後、山頂から仙ノ倉岳に向かってちょっとだけ下った所にロープが張られたお花畑があるので行ってみた。

コイワカガミ

 小さな花が一杯咲いている。黄色、紫、白色と大変綺麗である。
 地図を見るとこの先に平標山ノ家に向かう道が書いてあるが、見た所無さそうなので、仙ノ倉方面から歩いて来た人に尋ねて見ると昔は有ったが今は無いそうである。

 しかたがないので一旦山頂まで戻って平元新道に向かって下り始めると、登って来る人は皆必死の様子。それもそのはず、見おろすと平標山ノ家までずーっと木の階段が続いている。下りも大変だけと登りはもっと大変である。階段の両側にはササが生い茂り途中でワタスゲが咲いていた。

 平標山ノ家からは樹林の中を下っていく。小さい虫が一杯いて体中にまとわりついて来る。ゆっくり歩いているとたちまち寄ってくるのでかなりのスピードで下ってくる。私の後に杉本さんが続き、その後にもう1人続いていたがこの人もやたらと早い。我々の後にピタッとくっ付いて下ってくる。

ヨツバシオガマ

 やがてひょっこりと林道に出たので我々の後から下って来た人と話をすると、毎週どこかの山に登っていて山に行かないのは月に1度位だと話していた。なんとも羨ましいかぎりである。

 後から下ってくる曽我さんと藤生さんを待っている間も虫が寄って来るので香取線香を焚いてタバコを一服。これでなんとか虫は防げそうである。
 ここから登山口の駐車場まで林道をひたすら歩くのみである。両側にフキが一杯生えていたので、大谷さんのお土産に皆でしばらくフキ取りに精を出し、別荘地の中を通り抜けて駐車場まで戻ってくる。

平標山頂

 駐車場に戻って来るとフロントガラスに紙が置かれている。開いてみると温泉の案内だ。
 折角チラシを入れてくれた事だし近いので立ち寄って入浴していくことにした。
 看板を見付けて入って見ると玄関先の太いパイプから温泉が流れている。鉄分が多いのか赤い色をしている。
 1人700円を出して入ると空いていてなかなかいい。浴槽の中は真っ赤で熱くてとても入れない。水をじゃんじゃん出して何とか湯船に浸かったが、とてもながくは入っていられない。

シャクナゲ

 風呂から上がってソファーの所でビールを飲んで休んでいると、ここの主人がやってきて色々と話しを始める。
 大変話し好きな人であれこれと話をしていたが、以前は大変儲かって自分で温泉も掘ったそうだが、今は風前の灯火で、宿泊もやっていたが現在は土・日・祭日の日帰り入浴のみの営業しかしていないそうだ。

 田中先生のお陰で関越道が出来て便利になったが、逆に皆日帰りとなってしまって、おまけに不景気でスキー客も減り、プリンスが格安のパック料金でお客を泊めるからまったく商売上がったりの状態らしい。

平標山から千ノ倉岳方面

 ひとしきり愚痴を聞いた後、運転を杉本さんに変わってもらって、三国峠を越えて月夜野ICから関越道に乗る。
 最初は順調だったが予想した通り渋滞に巻き込まれ、行きに寄ろうと思っていたファミリーレストランで夕食を食べて、戻ってくる。

 3日間天候に恵まれて花と残雪を楽しめた山行も無事に終了する。 


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