恵那山
山行記録  [ back ]

フリガナ エナサン 
山域・山名 恵那山 2189.8m
日   時 1999年9月10日(金)から9月12日(日) 
天   候  
行   程 9月10日(金)
沼津IC(17:35)(東名)浜名湖SA(夕食)(19:05-33)小牧JCT(20:45)(中央)中津川IC(21:40)−黒井沢林道−登山口駐車場(22:50)
9月11日(土)
登山口(7:00)−小屋(7:30)−野熊ノ池避難小屋(8:46)−山頂避難小屋(10:50)−恵那山頂(10:57)−山頂避難小屋(11:03-11)−野熊ノ池(12:34-51)−小屋(13:38)−登山口(14:10)
登山口(14:30)−中津川IC(15:30)(中央)伊那IC(16:25)−「大芝荘」泊(16:35)
9月12日(日)
行程省略  
所 在 地 長野県下伊那郡阿智村、岐阜県中津川市 
2.5万図 中津川 
緯   度 35.2623 
経   度 137.3604 
備   考  


 沼津ICから東名に乗り、夕食の為に浜松SAに寄った。折角浜松に寄ったのだからうなぎを食べようと、レストランでうな重を注文しトイレを済ませて席に着くとすぐに品物が運ばれて来た。
 やけに早いなー、もしかしてチンしてお仕舞い?などと思いながら食べてみたが、何だか今一である。
 食べ終わって外に出ると、別のところに中華料理があった。どうもこちらの方が安くてうまそうである。
 浜松SAを出て小牧JCTから中央道に入り中津川ICで高速を降りる。

林道はここまで

 ここから一般道を経由して黒井沢林道を進んで行くと、舗装道路から未舗装道路となり、大きな轍があってサニー号で腹を付かないように、ゆっくりゆっくり徐行しながら進んで行く。
 再び舗装道路となって快調に走ったかと思うと又未舗装道路となり、とたんにペースダウン、林道を進むにつれて道路状況は悪化の一途をたどり、やはりこう言う所は私のプラドに限るなーと思ってもどうしょうもない。
 サニー号の腹をつかないように細心の注意をはらいながらドライバー杉本はハンドルを固く握りしめ林道を突き進むのであった。

 林道と格闘する事1時間10分ようやく目的地の黒井沢登山口に到着する。
 辺りは真っ暗で既に1台車が止まっており、その奥にテントが2つ張ってある。
 本当にここが登山口なんだろうかと心配になり、車を降りて確認すると確かに恵那山登山口と書かれた標識がある。場所は間違いないようだ。

 きちんと車を止めて、早速仮眠の準備に取り掛かった。クーラーボックスからビールと日本酒を取り出して車の中で杉本さんと2人で一杯やりながら闇夜に目を凝らして見ても何も見えない。素早く酒を飲んでシートを倒して仮眠の体制に入る。
 しばらく経って、屋根を激しくたたく音で目が覚めた。時計を見ると夜中の3時を過ぎている。どうやら本格的な雨らしい。
 再び目をつぶっていると今度は車のライトとエンジン音。くもった窓ガラスを手で擦って覗いてみると2台の車がやってきた。
 うつらうつらしていると今度は何やら女の人の話声が聞こえてくる。外は夜が明けて白々して来ており、我々の車の横に止めたワゴン車から出発準備をする人の姿が見える。
 夜中に着いて我々の横に止めた車はどうしたのだろうか。いつの間にかワゴン車に変わっていて、雨がひどいので帰ってしまったのだろうか。

 寝ていても仕方が無いので起きて朝飯を食べる。雨は上がっているがいつ降り出してもおかしくない様子である。
 どうしたものかと悩んでいると先程の女性のグループはカッパを着込んで出発していった。車のナンバーを見ると福島である。福島からワゴン車を運転して5時に着いて、出発準備をしてさっそうと出掛けていくパワフルな方々である。
 トイレを済ませて空を見上げていると、昨日テントを張っていた人がこの辺りには厚い雨雲があってとれそうも無いですよと言って話しかけてくる。我々も悩んだが、何とか保つだろうとの判断で出発することに決めた。

登山口の駐車場

 カッパを着るほどではないが、雨で草木が濡れているのでスパッツは着けた方がいいが、私はスパッツを忘れて来てしまった。Sさんはしっかり着けて出発する。
 恵那山登山口の標識がかかっている所にゲートがあり、閉まっていてこれより先は一般車の乗り入れが禁止されている。大型の重機が入って工事が行われているらしい。
 ゲートを越して林道を歩いていくと仮設の橋が架かっていてここから登山道へと入っていく。

 しばらく行くと小さな避難小屋がある。ここを過ぎて進んで行くとどうも道がおかしい。踏み跡はあるがどうやら道を間違えたらしい。戻ってみると左にちゃんとした登山道がついている。間違えた道は水をくみに行くためのものなのか?。
 どうやら今のところ雨は降らずに我慢してくれているが、時々木についた雫が風に揺られて雨のように落ちてくる。
 樹林の中の登山道をひたすら歩き続けていると、又避難小屋がある。野熊避難小屋で大変立派な建物である。この先に池があり、ベンチも設置してある。ここで一休み。

 天気は相変わらず何とか持ちこたえているが、いつ降り出すかわからない。草についた雫でズボンはビショビショに濡れてしまい、いつになく手入れの行き届いていない登山靴は中に水が染み込んで来てしまった。

 あまり人に出会うこともなく、下って来た人は2人だけ。最初に下って来て人は昨日山頂の避難小屋に泊まったと言っていた。たった一人で快適でしたよと言っていたが、夜中に髪の毛の長い女性が窓ガラスの向こうからこちらを覗いていたりしたら・・・。うー恐い!一人で避難小屋に泊まるなんて私にはとても考えられない。

 雨が降らない事だけを願って、ひたすら山頂目指して登っていると、後ろから迫り来る黒い影、誰だ、ランニングシャツに短パン姿のマラソンランナーの恰好をした若者がさっそうと我々を追い抜いて行く。
 下って来たらどれくらいで山頂まで行ったのか聞いてみようと思い、その若者に声をかけると山頂まで1時間30分くらいだと言っていた。すさまじい早さである。

 道は相変わらず樹林の中を続いている。突然開けた明るい場所に出ると山頂避難小屋が現れた。目指す山頂はまだ先のようだ。
 山頂避難小屋を左に見ながら先に山頂に行ってこようと山頂に向かう。誰も居ない山頂は景色もなく写真だけ撮ってすぐに避難小屋に戻りはじめると雨がザーと降り出した。これはまいった、いそいで小屋に向かうと小屋の手前で雨が止んだ。 

 小屋の中で休憩しようと中を覗いてみると満員で入れない。ちょうど雨も止んでいるので小屋の外で杉本さんが持ってきた梨を半分づつ食べて、野熊の池のベンチまで戻ってお昼にしようと下り始める。

避難小屋

 樹林の中を下っていると、一時雨がひどくなってきた。登山道は木に覆われているので直接雨にはあたらないものの、まいったな、今更カッパを着るのも面倒臭いし構わずこのまま下り続けると下に行くに従って天気は回復しているようだ。
 急いで下って行くがなかなか野熊の池に到着しない。おかしいな、こんなに遠かったかなと思いながらひたすら下ってくるとようやく野熊の池のベンチに到着。

 パンを食べながら一服していると、避難小屋にいたグループがやって来たので我々は出発することにした。

 林道に出る手前まで来ると突然膝が痛くなってしまった。もう少しで林道なので何とか我慢しながら林道まで歩いてくる。
 林道に出る頃には天気も回復し雨の心配は無くなっていた。

 林道を歩きながら何気なく木を見ると大きなクワガタがいる。おーこれはオオクワガタかと一瞬息をのんだが、よく見るとミヤマクワガタである。それにしてもビッグザイズの天然物である。
 これは息子にいい土産が出来たと捕まえようとしたが足場の悪い斜面の向こうの木にとまっているので、杉本さんに右手を捕まえていてもらって左手で木に触れた瞬間、何とクワガタは自らの意志で草むらの中に落っこちてしまった。なんと残念な事をしたもんだ。後で考えたら帽子を被っていたので帽子で捕まえればよかったと後悔しきりである。

 そんなことをやりながらようやく登山口まで戻って来ると、話しかけてくる人がいる。
 今から登って小屋に泊まろうかどうしようか考えているらしいのだが、結構大きな荷物を持って登って行った人もいて、もしかしたら小屋に入りきれないかもしれないので行くならテントを持参した方がいいかもしれませんと言うと、ここにテントを張って寝て、明日の朝早く登るといっていた。明日は天気もよさそうだしその方がいいかもしれない。

 結局昨日我々が着いた時にテントに寝ていた人達は登らずに帰ってしまったらしい。いい判断だったのか悪い判断だったのかなんとも言えないが、取り合えず我々は引き返さずに恵那山に登ってしまってよかったんじゃないだろうか。

 草に付いた水滴でズボンがびっしょりになってしまったのでズボンだけ着替えて、林道をゆっくり下って、中津川ICより中央道に乗って伊那ICで降りて本日の宿泊地大芝荘に向かう。

 広い敷地にはゴルフ、テニス等スポーツ施設があって日帰り入浴施設もある。その中に建つ大芝荘は村営なので料金も格安である。
 部屋に荷物を置いて早速風呂に出掛けていく。内風呂と露天風呂があり、我々以外には誰も入浴しておらず貸し切りである。
 雨に濡れた体をゆっくりと露天風呂に浸かって温めて山の汗を流した。
 気持ち良く入浴した後はお待ちかねの冷たいビールの出番である。早速夕食の為に食堂に出掛けて生ビールと熱燗を注文した。今日1日の疲れを癒すために冷えたビールで乾杯だ。

 宿に向かう車の中で、杉本さんがもしかしたら鯉料理が出るかもしれないと言っていたが、郷土料理なので仕方が無いかもしれないが、鯉はあくまで鑑賞用であって食用では無いと言うのが私の見解である。しかし案の定鯉料理は1品だけ鯉の煮付けが出されていた。まぁ一品だけならよしとしよう。

 食事を済ませて部屋に帰って、しばらくうたた寝をした後にビールを飲んで寝てしまう。

 翌日は昨日と違って良い天気になった。
 朝食に行くと杉本さんの様子がちょっとおかしい。いつもならご飯をお代わりするのに今日はもういいと言っている。どうも腹の調子がおかしいので先にトイレに行くと言って席を立ってしまった。
 朝食を済ませて部屋に戻ると私もなんだかもよおして来た。トイレに入るとゆるゆるである。

 出発準備を済ませてロビーに向かうと又もや催して来る。あわててロビーにあるトイレにかけ込むと今度は水のようにシャーである。やれやれ腹を壊してしまったようだ。

 車に乗って、予定では経ケ岳に登るつもりだったのだが、予定を変更して伊那富士へと向かう。
 生憎地図をもっていないので、コンビニでジュースを買いながら地図を調べた。ここでもトイレに寄る始末である。
 一応の場所を頭に入れて向かったが、どうしても途中で道が判らなくなってしまい伊那富士を諦めた。
 下見を兼ねて高遠を経由して杖突峠を通り、森屋山登山口を調べて、入笠山に向かって林道を走っていく。
 細く曲がりくねった林道をどんどん登って行くと、自転車で走ってくる若者達と擦れ違う。
 茸を採りに来ている人達が大勢いるとみえて林道脇には多くの車が止まっている。
 入笠山登山口の駐車場に車を止めて、ここでも早速トイレに駆け込んだ。杉本さんと交互にトイレに通うのが今日の日課となってしまっている。

 ここから山頂まで30分位なのでジュースだけ持って登っていくと又腹の調子が思わしくない。
 なんとか山頂に着いて写真を撮って景色を眺めると、雲さえなければ絶好の展望地だと思わせる所である。
 とにかく腹の調子が悪いので急いで下山することにした。
 駐車場に戻って又杉本さんと交互にトイレに寄って、林道を走って国道20号線に出た。
 腹の調子は悪いが何も食べないのもよくないので、道の駅に寄ってソバを食べた。
 この道の駅は入浴施設もあってかなり大きなところである。昼時を少し過ぎていたがソバ屋は順番待ちの盛況ぶりであった。

恵那山頂にて

 この後も国道が空いていたので、高速には乗らずに20号線から52号線に入り、富士から1号線バイバスを走って帰って来る。結局帰りは高速道路に1度も乗ることはなかった。

 それにしても1日中腹の調子が悪くて最悪であった。昨夜クーラーを付けっぱなしにしておまけに浴衣で腹を出して寝たのがいけなかったようだ。 
 家に着いて38度の熱が出てしまってどうやら風邪をひいてしまったらしい。

 島崎藤村の「夜明け前」の中に登場する山、当然深田百名山であり、かのウェストンも登ったことのある山である。
 日本百名山の中には南アルプスが白雪を輝かせて連峰が競い立っている姿は全く息を飲むような眺めてあった。思いがけない賜物が私にあった。それはわがふるさとの山白山が、白無垢の清浄さで遠い空に浮かんでいるのを見出したからである、と書かれている。
 残念ながら我々は辺り一面真白な霧に覆われて景色は何も見ることが出来なかった。

 たまには天気の悪い時だってあるさ、雨の恵那山も又よしということにしておこう。 


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