御嶽山・中ア宝剣岳
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フリガナ オンタケサン・ホウケンダケ 
山域・山名 木曽 御嶽山(3067m)・中央ア 宝剣岳(2931m) 
日   時 1999年10月 9日(土)から10月10日(日) 
天   候  
行   程 10月 9日(土)  
田の原駐車場(7:51)−八合目(8:56)−九合目(9:23)−王滝頂上(10:15-27)−御嶽山剣が峰(10:55-11:48)−王滝山頂(12:07)−八合目石室(12:56)−田の原駐車場(13:40)
田の原駐車場(14:00)−入浴(うしげの湯)(14:30-15:10)−権兵衛峠入口(16:05)−伊那IC(17:05)(中央)駒ヶ根IC(17:10)−民宿「信濃路」泊(17:15) 
10月10日(日)
信濃路(5:30)−駒ヶ根駐車場(5:40-7:25)(バス)しらび平(7:55-10:15)(ロープウェイ)千畳敷(10:30)−極楽平(10:57-11:17)−宝剣岳(12:10)−千畳敷(12:55-14:20)(ロープウェイ)しらび平(14:30-40)(バス)駒ヶ根駐車場(15:15) 
所 在 地 御嶽山 長野県木曽郡王滝村、木曽郡三岳村
宝剣岳 長野県駒ヶ根市、上伊那郡宮田村、木曽郡上松町
2.5万図 御嶽山 御嶽山
宝剣岳 木曽駒ヶ岳
緯   度 御嶽山 35.5323
宝剣岳 35.4642
経   度 御嶽山 137.29
宝剣岳 137.4844
備   考  


 10月に入っても暑い日が続いているが、山はそろそろ紅葉の季節を迎えている。
 子供の運動会が毎年10日前後に行われており、この時期はいつも山に行けずにいたが、今年は1週ずれたので、9日からの3連休に紅葉を見ながら山に行こうと計画を立てた。
 どうせなら思い切って遠くに行こうと八幡平、栗駒山周辺を色々と手配してみたが、どうしても宿が取れない。
 今年は例年より1週間程紅葉が遅れていて、丁度体育の日辺りが紅葉の見頃となるために休日だけでなく、平日も1週間予約で満室と言う返事であった。

田ノ原みた御嶽山

 これは困ったな、どこかいい山はないだろうか。この時期だと高い山に行かなければ紅葉には早いだろうし、比較的短時間で登ることが出来る御嶽山と中央アルプス駒ヶ岳に行こうと宿を探して電話をしたが、やはり2つ返事で断られてしまった。
 こうなれば夜討ち朝駆け日帰り強行軍でと思ったが、折角出掛けるのだからと最後の望みを託して電話をすると何と空いていると言う。早速予約を入れて宿が取れたのが1週間前であった。

 10月9日午前2時30分集合。当然の事ながら真夜中なので真っ暗である。
 沼津ICから東名に乗って富士ICで降り、朝霧経由で甲府南ICから中央高速に乗る。
 夜明け前の暗いうちに朝食の為に諏訪SAに入ったが、驚いたことにあの広い駐車場が満車状態で、路肩にまで駐車していてとても止めることが出来ない。
 しかたなくここでの朝食を諦めて、燃料補給だけして出てきてしまった。まだ朝の5時だと言うのにこの混雑、一体どこに行くのだろうか?
 岡谷から上信越道に入り塩尻ICで降りるとようやく夜が明けてきた。国道19号(中山道)に入ってコンビニに寄り、朝食と昼食を買って、元橋で国道と分かれて林道に入って行く。
 ここから田の原までまだ1時間近くかかる。周囲の木々はまだ紅葉しておらず、期待がはずれてしまった。

 徐々に高度を上げて、スキー場の間を縫うように走ると間もなく標高2200m、田の原駐車場に到着する。
 心配していた駐車場はそれ程の混雑も無くすんなりと駐車することが出来る。
 目の前には真っ青な秋晴れの空に御嶽山がその姿を現している。風もなく天気は最高である。
 前回は夜中にこの駐車場に着いて満天に輝く星空を眺めたが、今回は10月と言う事もあって、車の中で仮眠をとるのは寒すぎると思い夜中発にしたのである。

 早速朝食を済ませ、出発準備をして、トイレに寄って山頂目指して歩き始めた。
 しかし御嶽山は不思議な山である。標高が3000mを超えていて、これだけ立派な独立峰でありながら、周囲を山に囲まれている為に遠くからその姿を見ることがあまり出来ない。突然目の前にその姿が飛び込んで来るのである。
紅葉は色が付く前に枯れてしまっているようであまり綺麗ではない。
 この登山道は山頂までの最短コースで下から一直線に登山道が延びているのがよくわかる。
 自然園として管理された湿原の中を進んでいくと大江権現で、鳥居をくぐるといよいよ階段状の登山道が現れる。
 しばらくはオオシラビソの中を延々と階段状の道を登って行くが、周囲が赤くなっているところに出ると、ここがあかっぱげである。
 だんだんと溶岩の重なり合った道となって木がなくなったなぁと思うと既に森林限界を超えて青銅の像が建つ所に着きここで水分を補給する。

始まったばかりの紅葉

 振り向けば中央アルプスの山並みが見え、その向こうに南アルプスの山並みが続いている。相変わらず風も雲もなく、真っ青な空である。
 それぞれのペースで一歩一歩山頂目指して進んで行くと避難小屋のある八合目だ。
 九合目を過ぎると水場の一口水がある。前回来た時はちょろちょろではあるが水が流れていたが、今回はたまに水滴が落ちる程度でコップに汲むにはかなりの時間を要しそうである。
 ここからすぐ上に王滝頂上が見えているが、標高もかなり高くなり登山道も急になって着きそうでいてなかなか着かない。

 この辺りまで来ると南アルプスの向こうに台形の形をした山が姿を現した。お馴染みの富士山である。別に富士山が見えたからどうと言うことはないが、やはり日本一の山である。見えればなんとなく嬉しくなるのが日本人というものだろう。

 だんだんと硫黄の臭いが鼻につくようになり、九合目避難小屋を過ぎるともうすぐ王滝山頂である。立派な小屋と神社が建っている。
 ここを過ぎると噴煙を吹き上げる音と共に強烈な硫黄の臭いが漂っている。目指す山頂は直ぐ目の前である。
 八丁ダルミを過ぎてもう一頑張りで御嶽山剣が峰である。

 前回はガスっていて展望は得られなかったが、今日はすばらしい景色が広がっている。
 真っ青な空の下に、見渡せばすぐ下に青々した二ノ池、目の前に乗鞍岳、その向こうに穂高から槍ヶ岳、笠ヶ岳も見えている。右に目を移せば八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスの山並み、反対側には雲海の中から白山も顔を出している。そしてもう1つ、先月登った恵那山も雲の中から山頂付近が黒く見えている。実にすばらしい眺めである。
 全員が揃ったところで記念写真を撮って、山頂は混雑しているので少し下った所でお湯を沸かしてコーヒーを飲みながらパンを食べて昼食にした。

 長閑な秋の一時を充分に味わって、元来た道を下り始めるとだんだんと雲がわいて来て、展望が得られなくなってきた。時間と共に遠くが霞んで来て山並みがはっきりしなくなってくる。運が良かったなぁと思いながら田の原まで下って行く。

 田の原に着いて山頂付近を眺めると雲がかかっている。いい時に登ったなぁと思いながら、車に荷物を積み込んで、移動の準備をする。
 今日の宿泊先は民宿で温泉では無いと言っていたので、駒ヶ根まで行って「こまくさの湯」にでも行こうと田の原を出発して宿に向かった。
 しかし、しばらく走ると左側に露天風呂の看板が目に入る。車を止めて入って行くと、1人600円と書いてある。

 ここで入浴しようという話がまとまって自動販売機で券を買って入浴した。
 シャンプーも石鹸もあり、内風呂も露天風呂もあり、混んでいなくて実に快適であった。脱衣場にはちゃんとドライヤーまで設置されている。
 曽我さんと大谷さんは内風呂にある飲料用の温泉を飲んでいたが、なんだか妙な味がしたと言っている。

二ノ池


 さっぱりしたところで車に乗り込んで再び宿を目指して出発すると、藤生さんが「さっきの温泉のんだ?」と言うので曽我さんと大谷さんは「飲んだよ」と答えると「あの温泉飲んだら30分は飲んだり食べたりしちゃいけないって書いてあったでしょ」と言う。そんな事言われても、既に曽我さんは風呂から出てコーラを飲んでしまった後であった。大谷さんは宿に着いてからの一杯の為に飲んで居なかったのでセーフである。でもその後曽我さんは別に下痢した様子もないし何ともなかったようだが・・・。

 さて、元橋まで戻って駒ヶ根までは一山越さなくてはならない。渋滞も心配されたが、混雑もなく一旦国道19号線をしばらく塩尻方面に走り、右折して権兵衛峠を越えて伊那市に出るルートを走る事にした。
 権兵衛峠は大型車通行止めで大雨等によってはゲートが閉じてしまって通行が出来ない事があるらしく、あらかじめ現地に問い合わせをしてみると現在は通行可能との返事だった。
 曲がりくねった道をゆっくり走って、途中何台かの車と擦れ違いながら伊那ICから中央高速で駒ヶ根ICまで行き、茅葺き屋根を目印に走って来るとすぐに今日の宿泊先「信濃路」に着いてしまった。
 途中でコンビニに寄ろうと思っていたがインターから余りにも近すぎて寄る事が出来なかったので、宿でコンビニの場所を聞いて買いに行こうと先に宿に向かう。

 女将さんが応対に出てコンビニの場所を聞いて、ついでに明日の朝食の時間を聞くと「明日はどちらにいくんですか」と尋ねられたので、「ロープウェイで千畳敷まで行きたいんですが」と答えると「それじゃおにぎりにして早く出掛けた方がいいですよ」と言う。「バス乗り場はこの上ですよね」「そうですけど朝5時には駐車場が一杯になってしまうのでこのすぐ上にバスが止まるからそこから乗っていけばいいですよ」と言う。「そこのバスは何時ですか」と尋ねると 「6時10分です」と言う。「一杯でも立って行けば乗せてくれますからそうしなさい」と言う。我々と一緒に着いた1人の男性が 「混んでいても2〜3人なら乗せてくれるので我々はそこから乗ります」と言っている。
 曽我さんが「上に行けば座っていけますか」と尋ねると「座って行けるけど駐車場がねぇ」との返事。

 そんなやり取りがあってひとまず部屋に入り、私と大谷さんはコンビニに向かった。曽我さんがラーメンが食べたいと言うので、明日の昼食はラーメンにすることにしてコンビニでカップラーメンを買った。
 ここのコンビニ牛丼屋と一緒になっていて、酒が売っていない。しかたがないので、酒は諦めてラーメンだけ買って帰ってくる。

胸突き八丁

 コンビニから戻って夕食を済ませ、部屋に戻って明日どうするか検討した。
 どうしても座って行きたければ上の駐車場まで行って乗るしかないだろうけど、どうも話がおかしいようだ。
 第一この上から出発するバスがわざわざ下を回って又上に向かうはずがない。駅から出るバスがこの宿の前で乗せてしらび平に向かうのではないか。
 取り合えず明日は5時に起きて一旦上まで行き、駐車場が無かったら又戻って来て宿の前からバスに乗ることにして早々と20時前に全員で寝てしまう。

 翌日は5時に起きて、曽我さんが清算に行く。戻って来て宿の主人に「うーん、やめな、やめな、一杯だよ、ここから乗った方がいいよ」と言われたという。横にいた女将さんが「いいじゃないの一旦行って一杯だったら戻ってくるって言ってるんだから」と言っていると言う。
 まさかまだ真っ暗の5時30分頃そんなに混んで居ないだろうとバスターミナルについてビックリしてしまった。なんだこの人数は。まさに人、人、人だらけである。
 なるほど第一駐車場はすでに満杯だが、運がいいのか悪いのかすぐ近くの駐車場に車を止める事が出来た。

 思えばこれがとんでもない事の始まりだったとは、この時点ではまったく予想していない我々であった。
 車を止めてバス乗り場に向かうと既に長蛇の列である。辺りはまだ暗いというのにいったいどうなっているのだろうか。
 最後尾に並んでいるとこの列はバスを待っている列で、乗車券はもっと前で売っているらしい。曽我さんと大谷さんに順番を取っていてもらって、藤生さんと2人で乗車券を買いに行った。
 券を買って戻って来ると少しは前に進んでいるようだが、バスは相変わらずやって来ない。
 宿の人が言っていたのは駐車場のこともそうだけど、この行列の事を言っていたのではないだろうか?。素直に言う事を聞いていれば6時10分のバスに乗って行くことが出来たのにトホホ・・・。やはり地元の人の意見には素直に従った方が利口である。

 朝5時30分にバス停に並んで、ようやくバスに乗れたのが7時30分2時間も待たされてしまった。その後もバス待ちの行列は何処まで延びるのかと言うくらい先の方まで延々と続いている。
 ようやくしらび平に着いたと思ったら、今度はロープウェイの整理券をもらって又待たされた。
 掲示版に整理券の番号と乗れる時間が書いてあり、見ると何と10時15分である。
 現在8時15分だから又2時間待たなければならない。ここまで来た以上帰るわけにも行かず諦めて待つしかないだろう。
 後になって考えて見ればタクシーがしらび平まで入れるので、宿に5時で予約をしておけばこんに事にはならなかったなぁと思ったが、過去2回ここに来ているがこんな事は無かったのでそんなことはチラッとも頭に浮かばなかった。

 段取りの私としたことが大きな失敗である。だいたい前からこの3連休は山に行くと言っておいてキュンセルする杉杉本さんがいけないんだ!(おっとこれはちょっぴり八つ当たり)

 今日も天気は良さそうで青空が広がっている。展望も昨日よりもいいみたいだ。
 10時15分までやることも無いので駐車場の脇に腰を下ろして、朝食用のおりぎりを食べる。昼食用にと買ってきたカップラーメンも作ってここで食べてしまった。藤生さんが持ってきたコーヒーも飲んでしまってひたすら順番が来るのを待ち続けた。

 ようやくロープウェイの順番がやって来て千畳敷に着くまでに、バス停に並んでから実に5時間が経過していた。これなら下から登っても変わらなかったんじゃないだろうか。

中央アルプス宝剣岳

 そんな苦労をしながら千畳敷に着くと、宝剣岳をはじめとする千畳敷カールが吸い込まれそうなくらいの青空の下に広がっている。実にすばらしい眺めである。
 時間的に遅くなってしまったので木曽駒ヶ岳まで行くのは諦めざるを得なくなってしまった。この天気なら北アルプスもよく見えると思うんだが実に残念でならない。
 帰りのロープウェイの整理券は発行されておらず、時間が経つにつれて大混雑は予想されるものの、千畳敷だけで帰ってはただの観光客と変わらなくなってしまうので、極楽平までいってみようとカールの中に張られたロープの間を歩いて極楽平を目指して歩き始めた。

 今日も振り返れば南アルプスの展望が抜群である。富士山もちゃんと見えている。
 極楽平に着くと昨日登った御嶽山がどっしりとした山容で見えている。
 ここまで来て引き返すのも何だかもったいない気がする。どうせなら宝剣山荘側から下に下ろうとカールの稜線上を歩いて宝剣岳の手前までやってきた。
 ここから先はちょっと危険を伴う岩場を通過しなくてはならない。ここから引き返そうかとも思ったが、宝剣岳の中腹を巻いて向こう側に出られるのかもしれないと先に進んで行くと、そんな道は無く、宝剣岳に登らなくては行けない事が判ったが、ここまで来た以上進むしかないと岩場を登っていく。
 我々の前に10人位のグループがいて、遅々として進まない。帰りのロープウェイの時間もあるので早く通過したいのに困ったものだ。足場のしっかりした下りでも鎖にしがみついて容易には下りられないでいる。あーいらいらするなーと思ってもどうすることも出来ない。

 宝剣岳山頂も人で一杯でしばらく登って来る人をやり過ごしてなんとか宝剣山荘に到着した。
 ここで登るはずではなかった宝剣岳に登ってしまい、思わぬスリルを味わってしまったなぁとあらためて宝剣岳を見上げてしまった。

 宝剣山荘から下り始めるとロープウェイの案内放送が聞こえて来る。
 「ただ今から整理券を発行します」しまった!急がねばと気持ちは焦るのだが下山する長蛇の列で前に行くことが出来ない。
 競馬で言えば集団の中に入ってしまって抜け出せないでいる状態だ。はやる気持ちを押さえて何とか抜け出せる位置を狙って一気に飛び出した。岩を飛び跳ねながら下へ下へと下って行く。その姿はまさにカモシカのようだ。
 平坦な道になっても尚そのスヒードを緩める事なくゴールの千畳敷目指して猛然と突き進んで行く。
 そして手に入れたのは1時間30分待ちの整理券であった。整理券の発行が始まってからロープウェイで到着する人が降りて直に整理券を受け取っている光景を見てちょっぴりがっかりするのであった。

千畳敷カールと宝剣岳

 しかたなく千畳敷前の椅子に座って、曽我さんは写真を撮りに、大谷さんは会社に土産を買いに行ったりしながら時間を潰し、ようやく下りのロープウェイに乗る事が出来た。
 ロープウェイに乗りながら真下を眺めると紅葉が美しい。この辺りが今一番の時期を迎えているようである。
 ただ真っ赤とか真っ黄色といった色よりも多少くすんでいるように感じられる。

 ようやくしらび平まで戻って来ると、何とまだロープウェイ待ちの人が駐車場に溢れていた。
 バスの方は待つことも無く乗車してバスターミナルまで戻って来ることが出来た。
 駐車場の近くの食堂で昼夜兼用の食事をして、入浴して帰ろうかとも思ったがこの人混みではものすごく混雑していそうなので、諦めてそのまま帰ることにした。   

 2日間とも天候と展望に恵まれたが、2日目のロープウェイの人混みは本当に凄くて驚いてしまった。山に来たのかディズニーランドに来たのか訳がわからなくなりそうであった。
 やはり「地元の人の言うことは素直に聞くべし」である。反省。
 


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