新宿発22時30分の夜行バスで尾瀬を目指します。
夜行バスに乗って山に出掛けたのは初めてですが多少の制約はあるものの実に快適でした。
なんと言っても車の運転がありませんから大好きなお酒飲み放題です。
仕事を終えてシャワーを浴びて取りあえず一杯。新宿までの列車の中でも又一杯。新宿を出発する頃には酩酊状態でありました。
バスに乗り込み安眠枕にアイマスク、耳栓をして酔っぱらった勢いで仮眠体勢に入ります。1回目のトイレ休憩には全然気づかず、喉の乾きで2回目の休憩場所でトイレをすませペットッボトルの水を買って飲みました。
酔っていたので何処のサービスエリアなのか何時なのかさっぱり覚えておりません。(^^;
東北自動車道を降りて曲がりくねった山道を進んで行くと酔いが覚めて来て今度は空きっ腹に車酔いで気持ちが悪くなって来ました。私は一体何をやってるんでしょう。
さて、そんな状態な私ですがバスは無事に予定時間よりかなり早く御池に到着しました。
バスを降りて大きく深呼吸をすると、早朝のさわやかな空気と山の臭いが実に心地いい感じです。
ツアーに申し込む時事前に「尾瀬名物マイタケおにぎり弁当お茶付き」を頼んでおきましたのでこれを車中で受け取って山の上で食べようと思っていましたが、あまりの空腹に御池でお茶を温めて全部食べてしまいました。
何となくこれで正気に戻ったようです。トイレを済ませていざ!燧ヶ岳へ。
今回の行程は福島県側の御池から入山し燧ヶ岳に登って尾瀬ヶ原に下り、温泉小屋に1泊、翌日尾瀬ヶ原を歩いて群馬県側の鳩待峠まで縦走の予定です。
|
|
山の駅 御池 |
御池 有料駐車場 |
有料駐車場の中を抜けて一番奥に登山口があります。梅雨時期ですので雨は覚悟の上ですが天気はどうやらよさそうです。
|
燧ヶ岳登山口 |
登山道は暗い樹林の中で水が流れてぬかるんでおり最初からかなりの悪路です。途中に大きな石や木の根があり滑らないように注意しながら歩いて行きます。
だんだんと傾斜を増してかなりの急登となってきます。道の両側にはゴゼンタチバナ、イワカガミ、マイズルソウが今を盛りとばかりにかわいい花を咲かせています。
|
広沢田代 木道とワタスゲ |
急登が一段落すると広沢田代の湿原に出ます。今までのうっそうとした雰囲気から一気に開けて明るい場所となりました。
湿原の真ん中に木道が伸びてワタスゲが風に身を揺らしながら迎えてくれました。
小さな地糖があって周りの草花を写しています。
木道の向こうに山が見えますがあれは燧ヶ岳ではないですね。あの山を越えた向こう側にもうひと山ありそうです。
ガイドブックによると7月下旬にキンコウカの花が辺り一面を黄色く染めるらしいですが、残念ながら見ることは出来ません。
なだらかな湿原の木道を進むと再び樹林の中の登山道となりました。こちらもとんでもない悪路で水でぐちゃぐちゃ、場所によっては登山道を水が流れ落ちています。
とにかく歩きにくくて仕方ありません。
|
悪路の登山道 |
登山道を悪戦苦闘しながら歩いて来ると急に展望が開けて来ました。前方に燧ヶ岳らしき山が霧の中から姿をあらわしています。
振り返ると今朝出発した御池と広沢田代の湿原が眼下に見渡せます。
|
|
眼下に画面左上御池と広沢田代 |
木道を進めば熊沢田代 奥に燧ヶ岳 |
熊沢田代には木道脇に休憩場所が設けられています。すぐ側に池があり静かに水が湖面をゆらしていました。
ここで少し休憩を取りました。全身から汗が出て昨夜の酒が抜けてようやく調子が出てきます。山に来ているのにいつもの事ながら不謹慎な私です。
|
熊沢田代 休憩場所 |
熊沢田代の木道を抜けて再び樹林帯の中を進んで行きます。樹林はシラビソやダケカンバなどが混じり亜高山帯の境界付近を思わせます。
途中で残雪が現れて滑らないように注意しながら雪渓を上に向かって歩いて行きます。
|
|
雪渓を行く |
ササとハイマツの中 |
雪渓を登り切りしばらく進むとササとハイマツの中の道となります。どうやら森林限界を越えたようです。
ここからガレ場を進み大きな岩を越えれば俎ーです。
振り返ると先ほど登って来た熊沢田代や会津駒ヶ岳が見えています。燧ヶ岳は残念ながら霧の中で見えません。
ここで83歳の単独行の男性に会いました。肌などつやつやしていてとてもそんな歳には見えません。なによりもいまだに現役で山を続けているのが凄いですね。しかも単独行で、頭が下がります。
あの方の歳まであと40年以上ありますから酒はほどほどにして健康で山登りを続けて行きたいと思います。むーんでも酒がなぁ〜>おい!
|
俎ー山頂 |
俎ー山頂で記念に写真を撮っていたら急に霧が晴れて燧ヶ岳が見えて来ました。慌てて場所を移動してカメラのシャッターを切りました。
|
俎ーからみた燧ヶ岳山頂 |
写真でも判るように俎ーから一旦鞍部まで下り登り返せば燧ヶ岳山頂です。こちらの山頂は柴安ーで俎ーも合わせてこの山全部で燧ヶ岳と呼ぶのが正解のようですが、標高の高さで柴安ーの方を燧ヶ岳と呼んでいるのかな?
俎ーの方には標識らしきものもなくなんかぞんざいな扱いのようだったのですが、柴安ーの方は立派な石の標識があってそこには大きく燧ヶ岳と書かれていました。
今から10年前夜討朝駆けで登った至仏山から尾瀬ヶ原の向こうに見えた山、いつの日にかと思い続けて今こうやって東北地方の最高峰、燧ヶ岳の山頂に立っています。
まさに感無量で言葉になりません。10年一昔、私は10才歳をとり、あの時見た燧ヶ岳はあの時のままの姿でありました。
|
念願の燧ヶ岳山頂にて |
山頂は結構登山者で賑わっておりここで少し休憩をとることにしました。今朝受け取ったマイタケおにぎり弁当は御池で食べてしまったのでインスタントラーメンをコップに入れてお湯を注いで食べました。適度な塩分がちょうどいいですね。
下りはガレた急な登山道で眼下に尾瀬ヶ原が広がっています。残念ながら至仏山は霧の中で見えません。
途中で温泉小屋への分岐があります。今日は温泉小屋に泊まるのでこの道を行ってもいいのですが今朝御池で会った地元の人の話だとこのルートは止めた方がいいとのことと地図にも正式なルートとして載っていない事で真っ直ぐ下田代に向かいます。でもここの標識に上級者コースと書かれているとちょっと行ってみたい気がしますね。
登山道は樹林の中に入ると展望も無くずっと沢筋の道を下へと伸びています。下りが緩やかになってからもえんえんと樹林帯を抜け出せません。もう下りに飽きた頃ひょこりと木道に出ました。
もうすぐそこが下田代十字路です。山小屋があり休憩所もあってちょっと上高地の明神、徳沢といった雰囲気のある場所です。
ここで水筒に水を汲んで飲みました。冷たくてとてもおいしかったです。
|
|
下田代十字路の山小屋 |
木道に咲くワタスゲ |
ここからはもう木道を歩くのみで気軽です。木道脇に咲く花を眺めながら温泉小屋に向かいます。
|
ショウキラン |
今日の宿泊地尾瀬温泉小屋です。そんなに混雑していない様子で6畳の部屋へ通されました。
時間的に余裕があれば三条の滝へ行ってこようかと思いましたが時間が無く荷物を置いて平滑ノ滝を往復する事にしました。
|
温泉小屋 |
今から3万6千年前燧ヶ岳から流れ出た溶岩が平滑ノ滝を作る硬い岩石だそうです。
|
平滑ノ滝 |
平滑ノ滝から戻って温泉に入りに行きました。石けんもシャンプーも使えませんが汗を流せるだけでも有り難いものです。
風呂から上がって小屋前のベンチで夕食までの間ビールを飲んで持ってきた日本酒も飲んで、適当に夕食を済ませて、部屋でこれまた持ってきたウイスキーを飲んで翌朝まで爆睡してしまいました。
翌日も朝からいい天気になりそうです。
朝食を済ませて出発準備をして時間的に余裕があったので小屋前のベンチでお湯を沸かしてコーヒーを飲んで出発しました。
今日はのんびりと尾瀬ヶ原の写真を撮りながら鳩待峠に向かいます。
昨日は姿を見せてくれなかった至仏山も大きく見えています。前後にずっと燧ヶ岳、至仏山を見ながら尾瀬ヶ原を歩いて行きます。
ハクサンタイゲキが夜露に濡れて輝いてます。サワランが木道脇からそっと登山者を見送っています。
|
|
ハクサンタイゲキ |
サワラン |
|
|
ニッコウキスゲ |
すぐ前を野鳥が |
沼尻川を越えれば福島県とお別れ、ここから群馬県に入ります。
|
|
福島県・群馬県境 |
沼尻川 |
沼尻川のすぐ側に竜宮小屋が建っています。
|
|
竜宮小屋 |
竜宮小屋と燧ヶ岳 |
|
|
ヒツジグサ |
オゼコウホネ |
山の鼻が近づくにつれて登山者の数が増えて来ます。ここまで来れば尾瀬ヶ原と燧ヶ岳の景色がとても素晴らしくなって来ます。
|
|
尾瀬のボッカ |
尾瀬ヶ原と燧ヶ岳 |
|
|
尾瀬ヶ原と燧ヶ岳 |
山の鼻 ビジターセンター |
山の鼻から鳩待峠までは最後の登りとなります。登り切るとマイクロバスやタクシーが駐車しています。帰りのバスまで時間があったのでここでお風呂に入りまたもやビール、日本酒、焼酎を飲んだくれてバスの中用にワインを1本買い込んで鳩待峠からマイクロバスに乗って戸倉へと向かいます。
戸倉でバスを乗り換えて買って来たワインを飲みながら東京駅へと向かいました。
尾瀬は春と夏の変わり目で人影もまばらなひっそりとしたとてもいい雰囲気でした。梅雨時期の2日間天気に恵まれてよく歩きよく飲みました。たまにはバスで山に向かうのもいいものです。
やみつきになりそうです。
以下カシミール3Dにて作成
画像をクリックすると拡大します。
|
御池〜燧ヶ岳〜下田代〜温泉小屋 2D地図 |
|
温泉小屋〜下田代〜山ノ鼻〜鳩待峠 2D地図 |
|
御池〜燧ヶ岳〜鳩待峠 3D地図 |
|
御池〜燧ヶ岳〜下田代〜温泉小屋 行程断面図 |
|
温泉小屋〜下田代〜山ノ鼻〜鳩待峠 行程断面図 |
|