中央高速を通る度に山頂にトゲのように突き出たオベリスクが特徴的な鳳凰三山が見えています。
いつか登りたいと思いながらもついつい先送りとなっていた山ですが初冬の雰囲気を味わいに行って来ました。
自宅を午前2時に出発して夜明け前に夜叉神峠に到着しました。暫く車の中でおにぎりを食べたりしていたら、次々に車が到着します。
中から降りてくるのは猟師の方々でざっと30人以上はいたでしょうか。環境省のお役人さんもいてこれから北沢峠付近で鹿の猟をするそうです。
夜叉神峠から先は既に冬季通行止めになっていますので許可なく通行は出来ません。鹿の調査を兼ねているので許可が下りているのでしょうね。
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出発地点 夜叉神峠登山口 |
10年振りの夜叉神峠にて |
さて今回の行程は夜叉神峠から鳳凰三山を往復します。青木鉱泉からぐるっと回るコースもよかったのですが、こちらの方が距離は長いですが高低差が少なく展望もいいだろうと判断しました。
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夜叉神峠より白峰三山のパノラマ<クリックすると拡大します> |
夜叉神峠の駐車場を出発して夜叉神小屋のある夜叉神峠に向かいます。緩やかな登り坂が続きますが最初の慣らしにはこの程度がちょうどいいようです。
歩き始めて1時間ちょっとで夜叉神峠に着きました。実に11年振りの再訪です。今までは一度も開いていた事がなかった小屋ですが今日はやっていました。
この時期にしてはとても暖かく白峰三山がとてもよく見えていましたが、既に雪化粧していてもおかしくないのですが全く雪がありません。
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夜叉神峠小屋 |
ずっと樹林帯の中を歩く |
暫く南アルプスの山並みにみとれていましたが、気を取り直して先に進みます。ここから樹林帯の中を歩いて行きます。展望も無くだらだらとした道を歩いて行きますが途中の木の間から富士山が見えました。山頂付近に雪を冠ったとても綺麗な姿で見えています。
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木の切れ間から富士山の姿が素晴らしい |
杖 立 峠 |
登山道は相変わらずさほど急ではない樹林の中。ひたすら歩くのみです。杖立峠で少し休憩して尚も樹林の中を歩きます。
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相変わらず樹林帯の中 |
登ったかと思うと平坦な道となって距離だけは進みますが一向に標高が上がりません。天気は最高で相変わらず白峰三山が綺麗も見えていましたので途中で写真を撮りました。
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樹林帯を行く |
あまりに展望が素晴らしいので白峰三山をバックに |
何だか歩くのに飽きた頃、苺平に到着です。ここから後30分で南御室小屋ですから少し休憩をとって先に進む事にしました。
相変わらず樹林帯から抜け出る事も無くもくもくと歩きます。一旦下りきれば南御室小屋に到着です。
日差しがたっぷりと降注ぎ風も無く暖かいのでシートを敷いてここで暫く昼食休憩をとりました。昔ながらの山小屋といった風情で北アルプスの山小屋とは雲泥の差があります。ここには水場がありテント場もあります。
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苺平にて |
南御室小屋で昼食休憩 |
ここより先には水場がないのでここで水を補給して又しても樹林帯の中を登って行きます。先ほど下って来ましたから今度は結構急な登山道を登って行きます。
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南御室小屋のテント場 |
もう暫く樹林帯を登る |
しばらく登っていくとだんだんと周りの木々が小さくなって突然稜線に出ました。よく写真でみる真っ白な光景が目の前に広がっていました。
目の前には北岳が同じ目線で大きく見えています。左に白峰三山を見ながら白砂のような登山道の稜線を歩いて行きます。遠くに甲斐駒ケ岳らしい山も見えて来ました。
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樹林帯を抜けると一気に展望が開けて白い奇岩が姿を現す |
長い長い樹林帯歩きが続いたのでこの稜線歩きはとても気分がよかったです。目の前に薬師岳の奇岩重なる頂が見えて来ました。
ここから下っていけば出発から8時間30分、本日の宿泊地薬師岳小屋に到着です。
薬師岳小屋もなんとも風情漂う小屋でそれほど大きくありません。受付を済ませて寝床に荷物を置いて乾杯〜とビールを飲みたい所ですが何だか寒くてビールといった感じでは無かったのでコンロで日本酒を温めて熱燗と洒落込みました。
この時期は夕暮れも早くあっと言う間に暗くなってしまいます。日が沈む僅かな時間の山の演出を楽しむ為に上下レインウェアを身に付けて完全防寒スタイルで薬師岳山頂に向かいました。
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薬 師 岳 |
日が西に傾きだんだんと北岳方面が夕焼け空となってきました。眼下には雲海が広がり空は一層赤みを帯びて来ました。
夕焼けが最高潮に達した後、すーっと赤みが消え、とたんに周囲は暗闇に包まれていきます。ヘッドランプを付けて今度は東の方向を見るとこちらにもすばらしい光景が広がっていました。
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夕暮れの北岳 |
山頂に雪を冠った富士山、眼下には甲府市内の夜景が広がり富士山と街の間には雲が流れて富士山の高さが一層増して見えていました。
暫く夢中で写真を撮っていたら周囲はすでに真っ暗で何も見えません。慌てて撤収して山小屋に戻りました。
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富士山と甲府夜景 |
寒さが身にしみて山小屋に戻ると明かりが灯っていました。この灯りをみるとなんとも言えない暖かさを感じるから不思議です。
こうして第1日目の夜は更けて行きました。
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山小屋のともし火「薬師岳小屋」 |
2日目の朝は4時30分に起床しました。大部屋ですからまだ他の方は寝ています。ヘッドランプの明かりが極力洩れないように手で覆って素早く身支度をして部屋を出ました。
食堂で出発準備をして頭にヘッドライトを付けて外に出ます。頭上には月がまぶしいくらいに周辺を照らしていました。心配した寒さもそれほどでは無いようですが、稜線に出れば風が吹き付けてたちまち寒くなってしまうのでしっかりと上下レインウェアを着込んで防寒対策をして薬師岳に向けて出発しました。
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朝焼けの富士山と甲府市内 |
小屋から稜線にでると朝焼けの素晴らしい景色が広がっていました。
赤く焼けた空と雲海の上に富士山、その下には街明かりの甲府市内がヒンヤリとした空気の中に目に飛び込んで来ました。
薬師岳から観音岳に向かう途中でご来光の時間が迫ってきます。正面にさえぎるものが無い場所に陣取ってご来光の時を待ちました。
朝から神秘的な光景を目の当たりにして先を急ぎます。
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朝焼けの富士山と薬師岳 |
富士山・薬師岳と御来光 |
完全に夜が明けると今日も素晴らしい青空が広がりました。青空をバックに観音岳で写真を撮って先へ進みます。北岳から農鳥岳にかけての白峰三山にも朝日があたってとても綺麗です。
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観音岳にて |
朝日に照らされた甲斐駒ケ岳方面 |
目指す地蔵岳とオベリスクも大きく見えて来ました。
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北岳と間ノ岳 |
地蔵岳 オベリスク |
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仙丈ヶ岳から白峰三山のパノラマ<クリックすると拡大します> |
小屋を出発して約3時間地蔵岳に到着です。目の前にオベリスクの巨岩が天を刺すように聳えています。
地蔵岳で写真を撮って元来た道を引き返します。今日は夜叉神峠まで戻らないといけません。地蔵岳から夜叉神峠までは距離にして11キロもあります。山道としては呆れるくらい長い帰り道が待っています。
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オベリスク |
地蔵岳にて |
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オベリスクと八ヶ岳の山並み |
道標と白峰三山 |
せっせと元来た道を引き返しますがあまりにも天気がよく回りの景色も素晴らしいのでついつい足を止めて写真を撮ってしまいます。
ようやく薬師岳まで戻って来て朝は暗くて撮れなかった山頂での写真を撮って朝出発してから5時間30分薬師岳小屋に戻りました。
小屋の前で簡単な昼食をとって足早に夜叉神峠に向かって下山を開始しました。
樹林の中を歩く、歩く、ひらすら歩きます。
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薬師岳への登山道と富士山 |
薬師岳山頂にて |
もういい加減歩くのに疲れ果てた頃ようやく夜叉神小屋に着きました。日は西に傾き暮れかけています。ここからもう一分張り下らないといけません。
朝薬師岳小屋を出発してから11時間15分、何とか暗くなる前に夜叉神峠の駐車場に到着しました。
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仙丈ヶ岳から白峰三山〜遠く南アルプスの山並みが続<クリックで拡大します> |
夜叉神峠から車で芦安に下りましたが、昨日は夜明け前で見えなかった景色が夕暮れ時ではありましたがなんとか見えています。
カラマツの黄色い紅葉は最盛期は既に過ぎていましたが、まだまだ見ごたえがありました。
途中日帰り温泉で入浴を済ませ、22時30分無事自宅へと帰って来ました。
風も無くこの時期にしては暖かくよい天候と展望に恵まれた山行となりました。
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登山道平面地図<クリックで拡大> |
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登山道立体図<クリックで拡大> |
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登山道標高差断面図<クリックで拡大> |
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