夜中中もの凄い強風が吹き荒れる。小屋が揺れるのが分かるくらいだ。遮るものの無い3000mの稜線とはこういうものか。
小屋は3時30分までは寝ていて欲しいと言われたので起きてトイレだけ済ませて、ヘッドライトを付けて東岳(悪沢岳)を目指す。
今日は本当に素晴らしい夜明けが期待できそうである。いつものように背中に重たい荷物が無いので実に軽快に山頂を目指す。
山頂につくと雲海の中から富士山が見えていた。だんだんと東の空が茜色にそまり始めそれは素晴らしい御来光を拝む事が出来た。
本行程の中で1番の景色ではなかっただろうか。
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夜明け前の朝焼け 雲海と富士山 東岳(悪沢岳)より |
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荒川東岳(悪沢岳)山頂にて |
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東岳(悪沢岳)が中岳避難小屋の向こうの空に影になって見えている |
小屋にもどる途中、朝焼けの赤石岳や中央アルプスから北アルプスまでそれは素晴らしい展望であった。
小屋に戻って朝食を食べて出発準備をしていると管理人さんが缶ジュースをご馳走してくれた。有りがたく頂き飲み干して出発する。
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朝焼けの赤石岳 |
北アルプスの山並み |
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荒川小屋手前からみた富士山 |
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スッキリと晴れ渡った青空と赤石岳をバックに |
荒川小屋までは一旦登ってから下って行く。その下りで今度は右足が痛くなってきた。登山道脇にザックをおろして手当をして再び下って行く。昨日左足が痛くなってそれをかばって歩いているうちに右足に負担がかかってしまったみたいだ。
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荒川小屋に向かう下りの登山道 |
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荒川小屋 |
荒川小屋を過ぎて今度は登りになる。負傷した足には登りの方が負担が少ないのでありがたい。
小赤石岳を過ぎて雄の雷鳥を発見、その後赤石岳山頂で写真を撮って今度はずーっと下って行く。砂礫の下りは滑りやすくただでさえ下りにくいが負傷した足にはかなりの負担が生じている。
杖でかばいながら下ってくるが時々毛を引っ張って抜かれたような激痛が走る。下りに関してはかなりのペースダウンである。
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小赤石岳にて |
雄のライチョウ |
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本行程5座目の3000m峰赤石岳山頂にて |
山頂を過ぎて直ぐに赤石岳避難小屋が建っている。二階建ての立派な建物だ。
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赤石岳避難小屋 |
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ガレ場に咲くチングルマ |
このまま百間洞まで行ってお昼にしようと思っていたが足が痛くてペースが上がらず途中にザックをおろしてゆっくりと昼食を食べた。後からAさんもやって来てここで一緒にご飯を食べる。
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深い谷筋、いかにも南アルプスらしい風景である |
その後も引きずるような歩き方で何とか百間洞山の家まで辿り着く。このままではしょうがないので明日以降は何とかせねばなるまい。
テント場からかなり下った場所に小屋が建っているのでテント場にザックを置いて水筒だけもって小屋へと下って行く。
小屋でテント場の受付を済ませ、水を汲んで帰って来る。途中には沢も流れているがこの水は飲まない方がいいという。
この小屋は夕食に揚げたてのトンカツが出るらしい。揚げたてを食べてもらう為に順番制となっているとか。テントの人も申し込めば先着順で食べられるらしいが料金は2,000円。
テント場に戻って今日は天気がいいので濡れたテントを乾かして、その他のものも乾かして沢へ行って頭を洗って体を拭いたらとても気持ちがよかった。
ここはトイレと水場が小屋までいかないとないのでテントの人にはかなり不便である。
先ほど水を汲んでいる時に出会った男性はこれからこの先の兎岳まで行くと言う。みればかなりの軽装で話を聞くと昨年はツエルトとシュラフカバーのみで食糧は朝ラーメン、昼ビスケット、夜α米で連日雨に降られてがたがた震えながら縦走したらしい。
今年も同じルートを縦走しているがツエルトがテントに変わった他は装備に変更はないらしい。必要最小限度の荷物だけもっていかに早く歩くか、歳を聞いたら53歳ですって、凄すぎる人がここにもいたよ。
体洗ってさっぱりして日向ぼっこしながらビールを呑んだらやたらと旨かった。
足に手当をして明日はいよいよ最後の3000m峰聖岳に登頂予定なので早めに床に就いた。
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中岳避難小屋〜赤石岳〜百間洞山の家 ルート断面図 拡大します |
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中岳避難小屋〜赤石岳〜百間洞山の家 立体ルート図 拡大します |
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