夜中から雨になった。風も吹いている。本行程の中で最悪の1日になりそうだ。今日は光岳まで行く予定だがどうしたものか。
雨が小降りになったのを見計らって撤収作業をするが雨の日は本当にテントの撤収は最悪である。
何とか撤収して聖平を出発したが上河内岳までの稜線上は下から猛烈な風が吹き上げ背中を押されてよろよろと押し出されてしまう。風と共に雨も強くなって来た。今日1日はこんな感じかな。
悪天行の為ちょっと危険なのでいつもは適当な距離を保って勝手に歩いていたが、今日はAさん、Fさんと3人で共に茶臼岳まで行動する事にした。
上河内岳までやって来ると雄のライチョウが2羽いる。お互いに縄張りを主張して鳴き声出して牽制しあっている。とても貴重な場面を見せてもらった。
茶臼岳まではそんなに大きな登りも下りも無くだらだらとした道が続いている。今日は昨日、一昨日、の2日間と比較して格段に足の具合が良くなっていて助かった。痛みはあるが昨日ほどではない。
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横窪沢小屋で昼食をとった |
雨は相変わらずでもう登山靴の中はぐっしょりである。
明日も天候はあまり良く無いらしくここから光岳はもうすぐだか諦めて茶臼岳から下山する事にした。
時間的にも早かったので一気に畑薙第一ダムまで下ってバス停でビバークした方がゆっくり出来ると判断して多少遅くなってもいいから降りる事にした。
茶臼小屋で休憩させてもらおうと入ったら「よかったら靴を脱いで中で休憩してください」と言っていただいたので有りがたくそうさせてもらう事にした。
何か暖かいものでもとうどんを注文して食べたがびしょ濡れの体には大変有りがたかった。
今日は茶臼小屋までボッカが荷揚げに来ているという。そうえいば小柄な迷彩服を着た若い方が外でタバコを吸っていた。
今日は雨が降っているのでちょっと時間がかかったとコースタイム登り7時間以上かかる所を45キロの荷物を背負って何と2時間40分で上がって来たと言う。本当かいな?
下りは45分で降りると言う。ここにももの凄いのがいたよ〜。
この人現役の自衛隊員で富士登山競争にも出ていて国体の山岳競技でも全国トップレベルなんだそうだ。
どうりで凄い訳だ。
暖かい物を食べてだいぶ長居してしまったのでそろそろ出発せねばとカッパを来て小屋を出た。
樹林の中なので雨はあまり酷くないが、とにかく蒸し暑い。とてもカッパを着ていられる状態ではない。
全身から吹き出す汗でシャツもズボンもビッショリである。
横窪沢小屋で昼食を食べて、今晩は最終日なのでビールを2本購入してザックにしまい水を補給して再び下り始めた。
相変わらず急な登山道と蒸し暑さで下を向いて歩いているとポタポタと汗が滴り落ちている。
ウソッコ小屋まで来てちょっと休憩を取って何ヶ所か鉄と木で出来た階段を下り沢沿いに進んで最後に一登りすればヤレヤレ峠に到着。
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ヤレヤレ峠にて全身汗でビショ濡れ〜 |
だれが名付けたか知らないが本当にヤレヤ
レである。
上から下まで汗でびしょ濡れもうどうにもならない状態であった。
ここから下れば畑薙大吊橋だ。全長185m、真ん中に木が渡してあり両側は隙間だらけと言うかなりスリルがある橋を渡れば林道に出る。
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畑薙大吊橋 長い、高い、揺れる スリル満点 |
ここまで来れば後は林道を歩くのみ。もくもくと歩いていると途中の休憩舎に寝ころんでいる人がいた。「今日はここで野宿ですか」と声をかけると「違うよ」「俺登山者じゃないもん」・・・?「じゃどうしてここにいるの?」「聖平で小屋を造って居たけど降りてきた」と言っていた。私達も昨日聖平に泊まって降りて来たんだと話をしてその場を分かれたがこの人は畑薙ロッジまで行くと言っていた。
ゲートの所まで来ると下山者カードを記入して欲しいと言われここで下山者カードを記入して水を分けてもらう。
軽トラの後ろに犬を二匹乗せたおじいさんが居てずうずうしくも荷台に乗せてもらってここから畑薙第一ダムまで送ってもらった。歩けばまだ30分近くかかるがすでに12時間近く歩いていたので大変有りがたかった。
畑薙第一ダムのバス停待合室は屋根があり、長椅子も置いてある。この屋根の下にそれぞれテントを張った。
今日はあまりの蒸し暑さに全身びしょ濡れだったので、パンツ1枚になってトイレの水道で頭のてっぺんからつま先までばしゃばしゃ水をかぶって全身洗い流し、1週間降りに綺麗な服に着替えた。
もう明日は歩く事も無いし、早く起きる必要もないのでなんだか安心したような気が抜けたような感じ。
横窪沢小屋で買ってきたビールを2本呑んだがとてもうまかった。
夜中に激しい雷雨となったが屋根があったおかげでテントは濡れずにすんでよかった。
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聖平小屋〜茶臼岳〜畑薙第一ダムルート断面図 拡大します |
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聖平小屋〜茶臼岳〜畑薙第一ダム立体ルート図 拡大します |
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